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2019年4月25日、厚生労働省の若手職員が、厚生労働省の業務・組織の在り方や、中長期的な社会経済の変化を見据えた厚生労働行政の方向性について、自主的・主体的に、自由な発想で議論し、厚生労働省の改革につなげていくため、「厚生労働省改革若手チーム」を発足させました。

 若手チームは、20・30 代を中心とする 38 名の厚生労働省の職員をメンバーとし、厚生労働省に 18 ある全ての職種(人事グループ)1から構成されています。

 

分析する人

 

この提言は作成までに、事務次官から入省間もない若手まで含め、243 名へのヒアリング・対話を行い、厚生労働省本省の幹部・職員約 3,800 名のうち、第1回アンケートへ1,065人、第2回アンケートへ1,202 人が回答するという大規模アンケートを行い、それを集計し、週に二回を超えるミーティングを約三ヶ月間行いました。

 

ミーティング

 

これは「厚生労働省改革を進めることは、国民一人一人の人生と生活をより良くするもの」、組織の抱える課題を解消し、個人と組織の持つ能力とパフォーマンスを最大化して、真に日本の社会経済・国民生活の向上に資する、信頼される組織に再生させることを目的として行ったものです。

注目するのは、日々の業務を減らして楽をしたいとか、我々の待遇をよくしたいとか、些末な動機によるものではなく、国民から求められる社会保障・働き方改革を十分に推進できる組織になりたいという思いからであることです。

最終的に提言は、重要な課題を抽出し、それについては厚生労働省として、令和2年度の重点的な予算要求項目として打ち出すことを強く求めると締められています。

 

 

時間外労働の多さ

 

今回の提言の中では、業務量の多さ、時間外労働の多さが1つの問題になっています。

原因としては、「組織全体としてのマネジメント意識の低さ」などが挙げられています。

個人個人は非常に優秀な人であるはずなのに、組織になるとなぜ、生産性が低くなってしまうのでしょうか。

アンケートからは「業務利用に応じた柔軟な人事配置ができていない」など、人事やモチベーションが挙がらないように仕組まれたキャリア形成に問題があるとも提言されています。

 

 

 

 

本当にそうなのか

 

問題は、組織体制だけなのかというとそうでもなく、管理職への昇任に当たって、マネジメント能力やハラスメントの実態が十分考慮されるような仕組みになっていないとしています。

また、昭和を引きずる昼夜休日問わず働く職員「バリキャリ」型社員が評価されるという社風にも問題があるのではないかとも検討されています。

これは、現在の中小企業にも当てはまる問題であり、とても改善方法を注目したい点です。

これにより、育児や家庭・健康問題などで仕事をセーブせざるを得ない職員が働きにくい・実績が評価されにくい状況になっているとのこと。

これで、両立支援・働き改革の旗振り役は務まるのでしょうか。

育児や家庭・健康問題等のない職員が当たり前に深夜・休日残業をすることが普通だった時代の組織文化が、未だに継続しており、女性でも子育てをしながら、介護をしながら残業、休日出勤をしなければならず、実際、退職者ヒアリングでは、元職員のほとんどなどがこの点を問題としていたとのことでした。

自己犠牲を強いるような働き方のモデルでは、これからの時代には、持続不可能なのではないでしょうか。

 

 

原因としてのコミュニケーション不足

 

こうした社風を支えるのは貧困なコミュニケーションでした。

多忙すぎて人事に関しても、上司との面談時間もなく、自分がどこへ向かっているのか、非常に不安な働き方をしているように感じられます。

今のままでは、幹部や管理職、人事担当と職員との間のコミュニケーションが圧倒的に不足しており、多くの職員は自分がこの組織から大事にされているのか、求められているのかということが全く分からない状況で毎日、終電まで仕事を続けていかなければならず、それではモチベーションも低くなるというものです。

 

コミュニケーション

 

 

職員を大事にしない職場

 

職員アンケートにおいても、厚生労働省が「職員を大事にする職場である」と 回答した職員の割合は8%に留まるのに対して、「職員を大事にしない職場である」と回答した職員の割合は 40%以上となっていました。

こういった省庁が打ち出す施策に、果たして国民の生活を豊かにし、安心して生活できるようになる未来が託されていると思うと残念な気持ちになります。

 

 

 

 

今後の具体的な改善

 

厚生労働省は、今後、今回の緊急提言を元に生産性の徹底的な向上を図っていくとのことです。

業務の集約化・自動化・外部委託化をはかることとしています。

実際には、国会答弁資料の印刷・資料組み・資料持込は連日深夜まで国会中は行われ、1000ページもの資料組みをし、インデックスをつけるという作業をしています。

約5割の職員がこの作業を専任・外注で行う・タブレット利用を解禁することが可能であれば、かなりの省力化ができると回答しています。

また、HPも専門ではない職員が行うため、厚生労働省のHPであってもユニバーサルデザインが登用されておらず、わかりにくいサイトとなってしまっています。

これらも外注し、デザイナーに構築してもらうことで、見やすく、わかりやすいサイトに一変することが可能です。

それにより担当職員は、本務に注力することも可能です。

 

このように、問題抽出から優先順位をつけた提言、改善案までを一本化した今回の緊急提言ですが、10月からの予算どりでどこまで予算がつけられ、働き方改革が進むのか注目していきましょう。

 

 

出典

厚生労働省 厚生労働省の業務・組織改革のための緊急提言

 

佐藤祐造 医師

監修:佐藤祐造 医師

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名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長

 

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