運動する男女

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今回は、高めの血糖が気になる人や、すでに糖尿病と診断されている人も含めて効果的な運動の仕方をお話します。

 

 

活動量を上げることが大切

 

運動には、私たちの健康寿命をのばすために、他にはかえがたい効果があります。

からだを動かすことで、糖尿病だけでなく肥満や生活習慣病、循環器疾患やがん、加齢に伴う生活機能の低下、認知症などのリスクを下げることができると言われています。

 

 

 

 

運動の効果

 

有酸素運動により筋肉への血流が増え、また、運動の*急性効果により、ブドウ糖がどんどん筋肉細胞の中に取り込まれ、血糖値は低下します。

また、筋力トレーニングによって筋肉が増えることでも、インスリンの効果が高まり、血糖値は下がりやすくなります(これを、インスリン抵抗性の改善といいます)。

ただし、運動をやめてしまうとその効果は3日程度で失われてしまいます。

*運動中血中インスリン濃度はむしろ低下しています。

それでも、急性運動により筋肉へのブドウ糖の取り込みが増加するのは、インスリンとは別のメカニズムが関係しているからです。

一方、運動を続ければ(トレーニング)、有酸素運動でも筋力トレーニングでも、インスリン作用は改善します(インスリンの抵抗性の改善です)。

 

『継続は力なり』です。

 

一方、強度の高い激しい運動は、からだが動くためのエネルギーを補充しようとして、アドレナリンなどのカテコラミンやグルカゴンという血糖値を上げるホルモンの分泌を増やし、一時的に血糖値が高くなることがあります。

また、血圧を上げてしまうような高い強度の筋力トレーニングは、心臓や腎臓に負担がかかり、かえって害になります。

やみくもにたくさん運動をすれば良いというわけではありませんので注意が必要です。

 

それでは、どのような運動が効果的なのでしょうか。

 

 

オススメの運動とは

 

インスリンの効果を高めて血糖値を下げる運動には、有酸素運動と、筋力トレーニングがあります。

一般的に、中等度の強度(ややきついと感じるくらい)の有酸素運動が勧められています。

筋肉量を増加し、筋力を増強する筋力トレーニングも、同様に効果があると言われています。

最近の研究では、有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせることによって、より良い治療効果が生まれることが明らかとなりました。

今まで習慣がなかったのに、激しい運動を急に始めると、思わぬからだの不調が生じます。

ストレッチや準備体操を十分に行い、最初は軽い運動から、少しずつ強度をあげていきましょう。

 

運動する男性

 

合併症や他のご病気をお持ちの方は、事前に担当の先生と相談しましょう。

また、リハビリテーション科の医師や理学療法士は、こうした合併症のある方にも、ない方に対しても、それぞれ適した運動療法を考えてくれます。

太極拳やヨガなどのゆっくりした動きをベースにした運動でも、正しく行うと、安全かつ効果的な運動療法になると報告されています。

膝関節痛や腰痛をお持ちの患者さんは、荷重による負担の少ない水中運動や椅子に座ってできる運動が良いでしょう。

糖尿病の方ご自身が「好きで、楽しく、続けられる運動」を見つけましょう。

 

医師と女性

 

 

有酸素運動もオススメです

 

有酸素運動とは、ウォーキングやジョギング、水泳などの全身運動です。

歩行では、1回15〜30分間、1日2回。日常生活での歩行と合わせると、歩行での運動療法は一日1万歩程度が目安です。

 

 

 

筋トレをするならふくらはぎがポイント

 

足や腰、背中の大きな筋肉を中心に、全身の筋肉を使って、週2〜3回の筋力トレーニング(1セット10回程度)を行うことが推奨されます。

しかし、糖尿病の状態が悪い方やご高齢の方が、血圧が上がるような強度の高い筋力トレーニングを行うと、かえって血管や心臓の負担になることがあります。

どのくらいの強度が適切か、運動を始める前に必ず担当の先生に相談しましょう。

 

 

【ふくらはぎの筋トレ】

壁などに手をついて、両足で立った状態で踵(かかと)を上げて、ゆっくり踵をおろします。

1日の回数の目安10〜20回(出来る範囲で)×2〜3セット

 

 

 

 

運動で気をつけること

 

インスリンやSU薬を用いている人は低血糖に注意が必要です。

運動をする時は低血糖の症状に注意し、ブドウ糖や軽食を準備しておきましょう。

糖尿病のある方は、運動をはじめる前に主治医に相談しましょう。

合併症をお持ちの方や、血糖のコントロールが不十分な方では、運動を控えた方が良い時があります。

主治医とよくご相談ください。

 

毎日仕事で忙しい方、家事でまとまった時間が取れない方、運動をしたいと思っても、なかなか難しいことが多いと思います。

そのような方は、毎日の身体活動量を少しだけ増やすことから始めてみましょう。

 

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荷物を運ぶ女性

 

 

出典

国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「糖尿病の運動のはなし」

 

佐藤祐造 医師

監修:佐藤祐造 医師

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名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長