懐中時計

特定感染症保険

 

新型コロナウイルスの第二波も徐々に落ち着きを見せてきましたね。

しかし、まだまだ油断はできません。

自粛解除は段階的に行うことを考えると、以前とは違う新しい生活様式を少しずつ需要していかなければならないんだな、という気持ちにも自然となってきました。

新型コロナウイルスの流行により自宅待機や自主隔離、社会的距離の確保など様々な施策の影響もありいろいろな健康上の脅威が懸念されています。

特に、慣れない生活様式が新しく始まることは、心の健康を保つために必要な日常生活上のバランスを大きく崩してしまう危険性があります。

 

心のバランス「体内時計」

 

こころ穏やかに過ごすために役立っている、最も重要な脳のメカニズムのひとつが、“体内時計”と呼ばれるものです。

この体内時計の存在のおかげで、24 時間周期の朝・夜の繰り返しに合わせて、私たちの体調や行動は連動できています。

更に、計画的で安定したスケジュールや一定の日常生活リズムは、その体内時計の働きをスムーズにすることでも知られています。

体内時計がスムーズに働くと、私たちは心地よさを感じられるようにできています。

反対に、体内時計が乱れると、うつ病や糖尿病、肥満やがんなど多岐にわたる心身の状態が悪化することも研究で示されています。

新型コロナウイルス感染症の世界的大流行のような生活を激変させる出来事に直面すると、私たちの体内時計は乱れやすくなるだけでなく、一度乱れたその体内時計を適切なリズムに戻すことも難しくなることがわかっています。

 

野原

 

 

 

 

リズムが失われると・・・

 

特に、仕事や子育て、人との関わりといった、一定のリズムで毎日決まって行ってきた社会的活動(日課)が失われると、体内時計が変調をきたし、正しく作動しなくなってしまいます。

結果として、不眠や食欲低下、元気がなくなったり、つらい気分に陥ったりといった、時差ぼけに似たような不快な心身の症状が生じてきます。

 

実際に、これまでの生活スタイルが変化せざるを得ない状況に陥ると、体内時計が正確な時を刻めなくなり、その体内時計の乱れがうつ状態(もしくは躁状態)の出現などの気分悪化につながりやすくなるのです。

反対に、毎日を規則正しく過ごすように気をつけることは、ストレス下であっても体内時計を正確に働かせ、気分を安定させるためにとても役立ちます。

 

たとえ新型コロナウイルス感染症の世界的大流行のように、生活が混乱している最中であっても、体内時計が正確に働くように努めることで、つらい気分をやわらげることができます。

ここでは、どんなに非日常な出来事であふれていたとしても、医学的根拠に基づいた規則的な日常生活を送るために役立つ、誰でもすぐはじめられる簡単なポイントをいくつかご紹介します。

 

 

日常生活を規則的に送るためのコツ

 

・自宅待機や在宅勤務であっても、自分自身で毎日決まって行う日課を設定しましょう。そうすることで、あなたの体内時計は安定して働くようになります。

 

・ 毎日、同じ時刻に起きましょう。決まった時刻に起床することは、体内時計が安定します。これは、働くためにとても大切です。

 

・ 毎日、3密を避けた屋外で一定時間を一人で過ごすようにしましょう

体内時計の時刻合わせには、朝の光が欠かせません。

朝といっても、お昼近くよりは、午前中の早い時間帯がおすすめです。

 

・ もし、あなたが外に出られないとしても、少なくとも 2 時間は窓際で過ごし、日の光を浴びながら、心の落ち着ける時間を持ちましょう。

 

・ 在宅での仕事や学習、友人との電話、料理など、毎日行う活動は数種類決め、実行する時間を決めましょう。そして、毎日、同じ時間に行いましょう。

 

・毎日、運動をしましょう。できれば、毎日、同じ時間帯で行いましょう。

 

・ 毎日、同じ時間に食事をしましょう。食事の時間になっても、食べたくない時もあるかもしれませんが、それでも時間が来たら少量でも良いので何かを口にしましょう。

 

・ 人との交流は、たとえ社会的距離確保の期間中であっても大切です。リアルタイムに考えや気持ちを分かち合えるような人はいるでしょうか?

テレビ電話、音声通話のどちらでも結構ですので、可能そうな方とコミュニケーションの機会を持つようにしましょう。

すぐに相手が思いつかなくとも、誰かいなかったかを思い出してみましょう。

LINE のような文章だけの会話であっても、リアルタイムにメッセージが行き交うものであれば大丈夫です。

そして、毎日、同じ時刻にそういった相手とコミュニケーションするスケジュールを持ちましょう。

 

・ 日中の昼寝(特に、午後遅くの昼寝は)は避けましょう。もし、どうしても昼寝が必要な方は最大でも 30 分以内に抑えましょう。昼寝は、夜の深い睡眠を妨げます。

 

・ 夜間に明るい光(特にブルーライト)を浴びるのは避けましょう。

コンピューターやスマートフォンのディスプレイも含まれます。

ブルーライトは、睡眠に不可欠なホルモンを減らしてしまうことがわかっているからです。

 

・ 自分自身に合った、起床と就寝の時間を決め、その睡眠リズムを保つようにしましょう。

睡眠は、毎日、同じ時間に床につき、同じ時間に起きることがポイントです。

 

 

 

 

メンタルヘルス全国調査

 

先に発表された筑波大学の新型コロナウイルス感染症に関わるメンタルヘルス全国調査中間報告では、

 

新型コロナウイルスに関連したストレスの程度は、「とても感じた」「少し感じた」を合わせると8割に達したとしています。

8割程度の方が新型コロナウイルス感染症により少なからずストレスを受けており、中には比較的重度のストレスを抱えているとみなされる方もいらっしゃいました。

多くの方がこの新型コロナウイルス感染症の流行に伴いストレスを抱えていることが分かります。

 

しかし、いろいろ工夫をしてコロナ禍を乗り切った方もいらっしゃいました。

自粛期間中に有効だった生活上の対処法として、「十分な睡眠や生活リズムの維持する」「十分な睡眠をとる」「周りの人とねぎらいあう、励ましあう」と回答した方が多くいらっしゃいました。

 

自宅で様々な工夫をしながらメンタルヘルスの維持を行っていた様子がうかがえます。

 

新型コロナウイルス感染症の流行下において、私たちのメンタルヘルスはどのような影響を受け、どのように変化していくのか、まだはっきりとはわかりませんが、体内時計の乱れを避けながら通常の生活を行うことがメンタルヘルスの維持のコツのように思われます。

 

出典

筑波大学医学医療系臨床医学域 災害・地域精神医学HP 新型コロナウイルス感染症に関わるメンタルヘルス全国調査(中間報告)

国際双極性障害学会:時間生物学・時間療法タスクフォース (International Society for Bipolar Disorders; ISBD

光療法・生物リズム学会 (the Society for Light Treatment and Biologic Rhythms; SLTBR)

本文は、上記国際学会により共同で発表され、世界中の言語に翻訳されている提言の日本語翻訳版(日本語訳:宗未来(東京歯科大学)をさらに、一般の人向けにわかりやすい日本に修正したものです。

この提言「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行下における、こころの健康維持のコツ」は、その引用・複製・転載は自由と注釈があります。

 

佐藤祐造 医師

監修:佐藤祐造 医師

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名古屋大学名誉教授・健康評価施設査定理事長