定義

インスリンの作用不足により高血糖が慢性的に続く病気。網膜症・腎症・神経障害の三大合併症をしばしば伴います。大血管症(動脈硬化症)も合併しやすくなります。
重症になると血液中の糖が尿にあふれ出ることで甘い匂いがするためその名がありますが、診断は尿糖ではなく空腹時血糖や75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)とHbA1c(血糖の1〜2ヶ月間の平均値)などの血液検査によって行われます。
糖尿病の恐さは、自覚症状のないままに重篤な合併症が進展することで、微小な血管の障害である網膜症・腎症・神経障害の三大合併症のほか、より大きな血管の動脈硬化が進行して心筋梗塞や脳卒中のリスクも高まります。
生活習慣の改善によって糖尿病を発症する手前で防ぐ1次予防、たとえ発症してもあきらめずに血糖値を良好にコントロールして健康に生活する2次予防、さらに合併症の発症をくい止めたり、リハビリテーションを行う3次予防いずれも重要になってきます。

糖尿病リスク

関連する健診項目

食事改善提案

血糖値は、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度のことです。食事中の炭水化物などが消化吸収されブドウ糖となり血液に入ります。このため血糖値は健康な人でも食前と食後で変化します。通常であれば食前の値は約70~100mg/dlの範囲です。
適正な食事とは、正しい食習慣により過食を避け偏食せずに規則正しい食事をすることで、特別な食事をすることではありません。まずは日常の生活に必要な量を食べ、余分には食べないようにすることです。食べる量は少なければ少ないほどよいのではなく、多くも少なくもない適正な食事量を維持しましょう。
栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル)の過不足がないように、栄養バランスの良い食事をしましょう。好き嫌いなく、いろいろな食品を食べることが大切です。食べてはいけない食品はほとんどなく、血糖値に特に良い食品もありません。「おいしいものが食べられない。」「お菓子はもう食べられない。」のではなく、食べすぎさえしなければ食べられます。
適正体重維持のために、味付けを薄くし、塩物や干物などの塩分の濃い加工品をひかえることによって食塩を減らして(1日7~10g以下)、高血圧を予防します。また脂身の多い肉などコレステロールや飽和脂肪酸を多く含む食品をひかえて、脂質異常症を予防します。野菜、きのこ、海藻などにより食物繊維を豊富に(1日20~25g)摂取します。

運動改善提案

糖尿病の治療には、運動療法、食事療法、薬物療法の3本柱があります。運動療法により血糖コントロール、インスリン抵抗性、脂質代謝の改善が得られ、糖尿病を改善します。運動療法の目標として、運動の頻度はできれば毎日、少なくとも週に3~5回以上、運動時間は20~60分、運動強度は中等度(ややきつい)の全身を使った有酸素運動が一般的に勧められています。
運動療法は、血糖コントロール、インスリン抵抗性、脂質代謝の改善が得られ、糖尿病を改善します。さらに運動により、内臓の脂肪細胞が小さくなることで肥満を改善し、脂肪組織から産生されるアディポサイトカインなどのインスリンの働きを妨害する物質の分泌が少なくなります。このため筋肉や肝臓の糖の処理能力が改善し、血糖値が安定します。運動療法には以下のような運動種目、時間、強度、頻度が一般的に推奨されています。
運動種目:運動している筋肉ではブドウ糖や遊離脂肪酸の利用が促進されるため、できるだけ全身の大きな筋肉を使用するウォーキング(速歩)、ジョギング、水泳、自転車、ラジオ体操などの有酸素運動を行ないます。また、筋力や筋肉量が低下している(サルコペニアといいます)高齢者では、チュープや軽いダンベルを用いるレジスタンス(筋力)運動も併用します。
運動時間:運動の開始初期には、エネルギー源として主に筋グリコーゲンが利用されますが、運動開始10分後以降では血中の糖、15分後以降では遊離脂肪酸も利用するため、1回の運動継続時間は20分以上が必要といわれていました。しかし、2〜3分という細切れの運動の繰り返しも有効です。
運動強度:エネルギー源としてブドウ糖と遊離脂肪酸の両方が利用される中等度「ややきつい」と感じる程度の運動強度(心拍数が100~120拍/分、最大酸素摂取量(体力・全身持久力の指標)の40~60%)あるいはそれ以下の強度が適切です。
運動による代謝の促進、インスリン抵抗性の改善効果は、3日以内に低下し、1週間で消失します。したがって、血糖コントロールを良い状態に保ためには、運動はできれば毎日、少なくとも1週間のうち3日以上行う必要があります。
運動を実施するタイミングは、生活の中で実施可能な時間であればいつ行っても構いませんが、特に食後1時間後に行うと食後の高血糖状態が抑制され、より有効と考えられています。なお、インスリンや血糖を低下させる作用のあるお薬で治療している方は、低血糖の危険性もあり、必ず食後に行って下さい。
最近の研究では、1週間に合計150分以上の運動を行うと効果的だといわれています。最初は歩行時間を増やすなど身体活動量を増加させることから始め、個人の好みにあった運動を取り入れるなど段階的に運動を加え、安全かつ運動の楽しさを実感できるように工夫していくことが運動を継続するために重要なポイントとなります。
運動を実施する上での注意点としては、準備・整理運動を十分に行うこと、血糖がコントロールされていない1型糖尿病患者、空腹時血糖250mg/dl以上または尿ケトン体陽性者では、運動中にかえって血糖値が上昇するなど糖尿病が悪化することもあります。高血糖になることがありますので注意しましょう。また逆に、インスリンや経口血糖降下薬(特にスルホニル尿素薬)で治療を行っている方の場合は低血糖になりやすいことに注意する必要があります。

生活改善提案

現在、過剰な食事摂取、運動不足、ストレスなどの生活習慣を主因として急増している糖尿病2型糖尿病であり、全糖尿病患者の約9割以上を占めています。ストレスによる血糖値上昇もあるため、糖尿病患者、ことに1型ではうつ状態になりやすく、またうつ病患者も糖尿病になりやすいともいわれています。うつ病状態になると、血糖値のコントロールがむずかしくなり、糖尿病の合併症が多くなりますので、うつ状態を早期に発見し、不安を配慮したサポートが必要と考えられます。